「働く」とは縁を紡ぐ奇跡の連鎖

29才の頃、仕事に迷いを感じていた自分に、当時の上司が「働く」という言葉に「はた(側)を楽にする」という意味が込められていることを教えてくれました。それを聞いた後、自分の気持ちが一気に晴れ、仕事に対する姿勢が変わりました。 
その後、チームでプロジェクトを進める際、自分の役割を超えて同僚の負担を減らす工夫をし、作業は円滑に進めたことで、「はたを楽にする」という言葉の真意を実感しました。

人と人が出会い、共に働く確率は天文学的に低いものです。同じ時代に生まれ、同じ目標を分かち合える「縁」は、まさに奇跡的なつながり。だからこそ、仲間を大切にし、互いの存在を慈しむことが重要なのです。               
私自身、20年間日本での生活でその「縁」の尊さを学びました。当時言葉も文化も不慣れな私を、日本人の仲間が温かく迎え入れてくれたから、今の自分があるのです。彼らの「はたを楽にする」心遣いが、私の不安を希望に変えました。

働くこととは、単なる労働ではなく「共に生きる技術」です。縁あって結ばれた仲間と支え合い、その関係性を社会へ広げていく行為、そこにこそ、仕事を通じた人間らしい豊かさが宿るのではないでしょうか。