僕は学生の頃に出会った人生で初めて心から尊敬した人物がいます。
彼はムラタさんと言う名前で5歳ほど年齢が上の男性でした。
出会いはオープンキャンバスで行われたファッションショーで
モノトーンかつ繊細なディテールが組み込まれたメンズウェアを発表していたムラタさんとモデルの方の2人でランウェイを一緒に歩いてるところをみた時でした。
とても魅力を感じて僕もこんな人になりたいという思いで
すぐにその学校の資料を手にとり、受験することを決めて入学しました。
ひとつき程経った時に校内でムラタさんを見かけて声をかけさせていただき、初めてお話させて頂いた時はまだ僕は18歳の時でした。
当時僕は高校のデザイン学部出身で40人中男性が僕1人でクラスメイト39人全員が女性という環境で育ったため、男性の友人は片手で数えれるほどしかできず、専門学校のクラスでできた男性の友人は僕にとってとても貴重な存在でした。
入学して半年経った頃、僕はその友人と口論になり大喧嘩を経て、会話もせずほぼ疎遠の状態になりました。
僕は新しい環境でできた友人を失い、かなり落ち込んで、どうしたらいいのかわからないというジレンマを抱えながら毎日登校していました。
その時にムラタさんから食事のお誘いがきて
改めて2人でお話する機会ができた際に
「最近元気なさそうやな、悩んでるん?」
と気遣ってくださいました。
僕は今悩んでいることを全て打ち明けて相談することにしましたが、
その時にムラタさんから
「大切なんか知らんけどほっとけよ。その友達はお前がこれからデザイナーになる為に必要なん? 相手が人間であろうが物事であろうが今一度自分に必要なものと不必要なものを考えた方がいい」と強く叱られました。
とても悩んでいたこともあり、当時18歳の僕にはあまりにも強い言葉で心臓を突き抜かれたような感覚でした。
ですが、その言葉を聞いた数秒後には自身の未熟さややりたい事との向き合い方を誤っていたと認識し、心がスッと落ち着いてしっかりと自身がやるべきことに焦点が合った瞬間でもありました。
その翌日から専門学校を卒業するまで
僕は朝早く登校し夜の閉校時間まで洋服作りやデザインについての勉強に没頭し、学生時代にムラタさんがミハラヤスヒロやソマルタなどの最前線を走る現役デザイナーから直接評価を頂けるファッションコンテストで多数入賞をしていた事を知り、その背中を追って僕自身もファッションコンテストへ参加し入賞を果たせるようになり、卒業してからも自身がデザインした作品や商品などを手にとって購入してくれる方がいたり、ブランド様からODMを依頼してくれたりと今でも恵まれていたなと感じます。
自分にとって大切なものというのは
それは人かもしれないし物かもしれないし出来事かもしれませんが、人生は選択の連続で自分の人生においてそれは本当に必要なのか不必要なのかを皆さんも常に自身の心に問い掛けて、他者にとっては不正解であっても
自分にとって正しい選択をすることで自身が成し遂げたいことやその先にある幸せを掴めたらいいなと思います。