ささやかな思いやり

もうすぐ3月で卒業のシーズンになります。
私には卒業にまつわる忘れられないエピソードがあります。

かなり昔のことになりますが、私には4歳上の兄がいて、その兄が小学校を卒業した時に近所の老夫婦が菓子折りを持って、我が家にやってきました。
「毎朝、お宅のお子さんが『おはようございます』と元気に挨拶してくれるのが、私たちの楽しみでした。卒業はおめでたいですが、楽しみが減ってしまい残念です」
とおっしゃっていきました。
兄はかなりの内弁慶で、家族にはぶっきらぼうな態度が常だったので、私や母もすごく驚きました。
また同時に兄にとってはとても自然でささいなことが、その方々にとってはすごく心に響くことだったんだなと感じました。

自分にとってはささいな心遣いが相手にはすごく嬉しい出来ごとになることがあるし、また逆で、自分の何気ない行動が相手を傷つけてしまうこともあるんだと、当時小学校2年生の自分はすごく実感した出来事でした。
その次の4月から私はその老夫婦に毎朝、挨拶をして通学をしました。

この出来ごとを久しぶりに思い出して、自分の言動が周りにどういった影響を与えるかはその瞬間には分かりませんが、常に未来の自分に恥ずかしくない行いや思いやりをもって、生きていきたいなと改めて思いました。

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